食品製造の仕事は、一言で言うと、日ごろ私たちがコンビニやスーパーなどで買う弁当やパンなどの食品を製造する仕事です。
衣食住のなかで人間にとって一番大事な「食」の分野を担う重要な産業で、その時々の景気に左右されないため、食品工場の募集は増加する傾向にあります。
食品工場はどんなところで、どんな仕事をするのか、またどんな人たち(年齢層など)が働いているのかみていきましよう。
業務内容
食品と言ってまず思い浮かべるのが、弁当やパンでしょう。
そのほかにケーキや洋菓子、和菓子などの嗜好品、冷凍食品、飲料品など、コンビニやスーパーに最終的に並ぶ食品です。
働くために資格が必要というわけでもなく、日ごろ家で料理を作ったりすることが全くない人でも、それほど複雑な作業は要求されません。
ほとんどが単純作業で老若男女、誰でも働くことができます。70代、80代でも実際に現場で働いている人はたくさんいます。
日ごろ口にする食品がどんな工程でつくられているか、実際現場で知ることができ、めったにできない経験をすることになるでしょう。
当然ですが、弁当を作る工程とお菓子屋パンを作る工程とでは、ライン作業という点では同じですが、やはり違う点は結構あります。
コンビニ弁当であれば、野菜や肉をカットし調理をしたり、お米といっしょにお肉などのおかずを盛り付けたりする作業をそれぞれ分担して行います。
おかずなどは日々新しい商品が発売されたりするので、最初に仕込むときにその量(重さ)を決めたり、どういう順番で盛り付けていくか決めたり、それによってラインの速さをどれくらいにしたらよいか試行錯誤して決めています。
洋菓子や和菓子などは、ある程度機械化されているので、ラインの途中で不良品がないかどうかチェックしたりします。
イチゴ大福を例にとると、まずイチゴのヘタ剥きから始まります。それを1個づつ機械にいれていき、周りのお餅がうまくイチゴをつつみながらラインを流れていくのですが、たまにイチゴがはいってなかったりするので、1個1個軽く手で握って(勿論薄い清潔なゴム手袋をしますが)漏れがないかチェックしたりします。
パン工場では、特に工程の最後にあたる、包装作業をする場合もあります。
食品を扱うので工場内は衛生管理が徹底されています。頭巾のような帽子を身に着けるのに違和感があるかもしれません。なんとなく不格好という印象があるからっでしょうか。鏡に姿をうつして気持ちが萎える人も中にはいつようです。
あとは白衣、マスクを着用して作業をします。服に付着して髪の毛や小さなごみを取り除くために粘着テープのついたローラーをかけ、さらに手を30秒~1分かけて液体せっけんで洗い、薄手のゴム手袋をつけ、最後にエアシャワーをあびて工場内に入ります。
作業環境としてはほとんどが屋内作業です。冷暖房も完備されており、快適に作業ができます。
ただし、冷凍品を扱う工場では、マイナス温度の倉庫内で作業をすることもあります。
重いものを運ぶ作業もほとんどありません。
小さな工場ではあるかもしれませんが、それも台車を使っての作業がほとんどでしょう。
求人傾向
年齢不問の求人が多いです。派遣会社に登録しておくと、毎日のように単発の仕事の案内メールが届きます。また、学歴もほとんどが不問です。そのため、中卒の方でも働くことができます。
メリット
食品工場は当然のことですが、衛生管理にとても気を使っています。
工場というと「きつい、汚い、危険」の3Kのイメージが強いですが、こと「汚い」に関しては真逆で、とても清潔な環境で働くことができます。
また、時間の融通がききやすい職場ということも良い点でしょう。
作業員のほとんどがパートやアルバイトですので、細かいシフト変更が可能になっているのです。
早朝から作業を開始する早番なら時給も高くなるので、自分に合った時間帯で働いて稼ぐことができます。
もう一つ、食品を扱う職場だけあって、食べる楽しみが多いのも利点です。新商品の試食に参加できたり、社食が安くてボリュームがあったり、食べ放題のメニューやイベントがあるなど、食に関する福利厚生が充実している工場が多いです。
食品工場で働く人は、他の製造業の工場に比べてパートやアルバイトが多いのも特徴的です。
とにかく単純作業が多いので、正社員よりも断然多く雇用されています。
デメリット
食品工場ではほとんどラインで単純な作業を続けるだけですので、難しいことはありません。包丁を使う人も限られているので、危険なこともありません。
一方で、食品工場の仕事がきついというのはよく言われますが、これはかなりのスピードで単純作業をこなしていかなければならないからです。
弁当の工場でご飯を盛り付ける係になったら、1日に何百回もご飯を盛り付けなければなりません。基本的に立ち仕事ですし、慣れないうちは苦痛を感じる人も多いようです。忙しさから、体力的にも精神的にも疲労がたまり、つらさを感じる方が多いようです。
慣れてしまえば考えなくとも手が動くようになるので、ミスをしないように注意はしつつ、適度にリラックスして作業をこなせるようになります。
慣れるまでが勝負の仕事と言えるかもしれません。
あとは、食品の匂いが人によっては苦手なことがあるかもしれません。
食べ物なので良いにおいのはずなのですが、自分の苦手な食べ物の匂いであったり、最初は気にならなくても、同じ匂いを嗅ぎ続けて苦手になってしまう人もいるという話も聞いたことがあります。
こんなシニアにおすすめ
食品工場勤務者の収入は、他の製造業と比べると低い傾向にあります。
正社員であれば、初年度の年収は300万〜400万円ほどになりまが、シニアでアルバイトパートという待遇になると、日勤で時給で1000円~多くて1400円くらいに、夜勤(22:00~7:00など)の場合は1300円~1600円くらいになるでしょう。
派遣社員や期間従業員の時給も同程度になります。
大企業の工場であるほど、収入は高くなる傾向があります。
衛生管理が厳しいので、きれい好きな人は向いていると言えるでしょう。女性であれば、化粧をしなくても平気な人のほうが良いかもしれません。年配の女性ほどその傾向が強いようです。
働きたいと思った人は、清潔感を大事にしましょう!
また、将来自分でお店を持ちたいという人にも向いています。
個人店とは作業内容は全く違いますが、効率的に製品をつくるシステムや、材料の管理方法など、学べることも多くあります。
マクドナルドやミスタードーナツが円安の影響を受けて値上がりすることになりました。
食品工場は大量生産のためあまり景気の良し悪しに影響を受けないようです。食という普遍的な需要があるため、求人がなくなることのない業種です。
一般的に作業は大変だと思われているようですが、体が作業に慣れてしまえば疲労感も少なくなっていきます。
長期で働くのであれば、食品工場勤務者としての一般的な技術を習得し、食品衛生責任者などの資格を取得すれば正社員であれば昇進も早くなるでしょう。
それから大事な生理現象のことをお話ししておきます。
シニアの方で、トイレが近いという人は一旦ラインが流れ始めるとその場を離れられないため、我慢できないのでつらいという人もいます。なかにはオムツをつけて作業をする人もいるようです。
長時間のライン作業の初めにリーダーが「トイレは大丈夫ですか?」と聞いてくることもあります。その時は即トイレに行って絞り出しましょう。ひとりのために流れを止めるのは基本できないと思います。
どうしてもがまんできないという人は、他の方にかわってもらいトイレへ行くこともあります。でもやはり後ろめたい感じは残るかもしれません。
コメント